2019年5月19日日曜日


教育の基本 68  先輩に導かれて  

 教職に就いた昭和30年代は、まだ周囲に「師範学校」出身の先輩が多くいた。
 「理屈や理論を言うな、やってみせろ。」が先輩たちの口癖であった。

 戦前・戦中の師範学校の教員養成はすごいの一言に尽きる。
 賞状を渡す本人を目の前にして、左から右へ縦書きをしていき右端の表彰状と名前を書いて本人に渡す。これには驚いた。毛筆で書くだけで一苦労するのに何ということか。
 今ピアノを弾いていた先輩が次の体育の時間にはアコーディオンを担いで運動場でアコーディオンの伴奏でホークダンスの指導をしている。
 一人一人の似顔絵に俳句・川柳・コメントなどを添えて修了式の日に手渡している。
 小学校高学年担任の先輩は鉄棒の大車輪を豪快に師範して見せている。
 詩の暗唱をする先輩。人形劇指導をする先輩。古文書を軽く読み解く先輩。ああ、数え上げれば切りがない。

 当時の先輩は「主免1級」が中学校の教科であれば、「副免2級」に小学校の免許を取る。小学校が主免の場合は中学校の教科の副免を取る。

 それに師範学校の伝統であろう。「これは」という一芸を持つ

 戦後の昭和の3・40年頃までは師範学校の名残があり「理屈や理論は後にして」技術を徹底的に鍛えられた。

 その先輩がそこに居るだけで教育活動が成り立っていた。

新制大学で教員免許を取って職に就いた人との差は歴然としていた。
 現場に師範学校出身の「一芸」を持つ先輩がいて、先輩に導かれて一人前の教員に成長していった。今は先輩が後輩の面倒を見る光景をあまり見かけないようになった。己が向き向きの生き方が目立つ。

 それを考えると「教員養成」の在り方を考え直す必要があるのではと思ってしまう。まさか師範学校復活は無理であろうが。
 「一芸」に秀でた教員養成専門の師範学校は参考になる。
 手本を自ら示す「師範を養成する学校」いいネーミングだ。


教育の基本 67 「教育の目的」が教育の流れをつくる

教育の目的が何であるかで、教育の内容や方法が左右されてくる。

 今、「運動会は取りやめるのがよい」という発言を多く耳にすることがある。

 戦前・戦中教育の目的が「国家目標」の達成に置かれていた時は「お国のために」何を身につけさせるべきなのかが問題になった。
 想定した敵国と堂々と戦える精神力と体力と知力が必要である。そのためには、「運動会」「遠足」「修学旅行」はもってこいの学校教育活動の一つである。

 何と言っても男子生徒の花であった「騎馬戦」をはじめ「棒倒し」「組体操」「綱引き」は危険を日ごろの鍛錬で乗り切り相手を倒す競技に繋がる。

「お国の為」という言葉が消えて、せいぜい地域社会や小集団の為に協力的に自分の能力を生かす程度の価値観の上で、個人の個性を伸ばす教育に重きを置く教育目標に変わって時代も変わった。

 足腰を鍛え集団で目標を達成する「遠足」も、新しい場所を知り必要な情報を詰め込む「修学旅行」も、時代の価値観に合わせて変化するのは当然である。

 子供の成長に必要な教育内容と教育方法を思い切って改革していくことが必要であろう。
「運動会の目的」「遠足の目的」「修学旅行の目的」を親が願う子ども像と社会が欲求する子ども像を突き合わせて教育の根幹から見直す時期に来ているのではなかろうか。

 情報化社会・高齢化社会、災害、世界の国との関係など新しい状況を考慮に入れて「教育の基本」を樹立しなければなるまい。
 学校制度(6・3・3)専門学校・大学・大学院などを含めて改革していく。義務教育時代に身につけたい教育内容の見直しと教科の再編、塾や私立の教育機関(学校以外)の活用などを考えていく。

 それぞれにはそれぞれの生活がかかっている。さらに票に結びつかないことには政治家は動かないのでこれからも教育改革はほとんど望みなし。
 では、どうすればいいのかが問題となる。金を掛けずに今ある予算の中で目に見える改革に取り組むことはできないのか。

2019年5月16日木曜日


 2019年1月、中央教育審議会「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」が出された。
 一読ごもっともな内容であり、多くの専門家が「答申をどう受け止め、何に取り組むべきか。」と考えを述べている。

 先ず、文部科学省初等中等教育局財務課が改革推進のポイントを述べている。

1 学校における働き方改革の目的
  教師自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになること。

2 勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方改革の促
  文科省では「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン
 を策定した。時間外勤務を一か月45時間以内、一年間360時間以内とする。

3 学校及び教師が担う業務の明確化・適正化
  文科省としては、何が教師としての職務であるかの明確なメッセージの発出や勤務時間管理の状況の把握と公表等の取り組みを着実に進めていく。
  また、各教育委員会には、各地で発生する業務について誰が担うべきかの仕分けや学校・家庭・地域の連携・協働体制の構築。各学校には、校長による業務の大胆な削減や教職員一人ひとりによる業務見直しの機会の設定等が求められている。

4 学校の組織運営体制のあり方
  管理職のマネジメント能力の向上。

5 教師の勤務の在り方を踏まえた勤務時間制度の改革
  給特法の基本的枠組みを前提に、勤務時間管理の徹底や学校や教師の業務の明確化・適正化を行うべきとされている。

6 学校における働き方改革の実現に向けて環境整備
  教職員定数をはじめ、さまざまな専門スタッフ等、学校指導・運営体制の充実の必要性が提言されている。
  小学校の教科担任制の充実、教育課程の見直しや免許制度の在り方など。

7 学校における働き方改革の確実な実施とフォローアップ等
  取り組みの進展状況を市区町村別に公表することや、3年後を目途に教員勤務実態調査を行うことがあげられている。

 3年後を目途に教員勤務実態調査を始めるということで、やっと働き方改革の準備に入るぞというスタートラインに立ったということである。内容を一読する限り、この答申は絵に描いた餅にならざるを得ない。
 各自治体の貧富の差が大きく「働き方改革」を左右するであろう。
 そして、今まで教員にしわ寄せが来ていた問題を管理職や中間管理職に回すだけのことになりかねない。

 この答申の大きな問題は、仕事量、即ち、授業時数や授業内容の削減に触れていないこと。次に、環境整備にあたっての予算の問題に触れていないこと。更に、教職員の定員数を増やさないこと。おまけに超過勤務手当は給与の4%(給特法)で打ち切りと。

 仕事量は減らさない、人数は増やさない。金は出さない。

 これで働き方改革を知恵を出し、汗を流して考えなさいということである。

 中教審答申「働き方改革」は、絵に描いた餅と言わざるを得ない

2019年5月3日金曜日


教育の基本 65  PTAはボランティア組織です

 PTAは保護者と学校によるボランティア組織です。
 だから、参加することもしないことも自由であることが原則です。

 しかし、長い歴史の中でPTAの役割が変質してしまいボランティア活動からそれてしまったような気がします。
 その一つが、PTA組織を地方議員活動の足場にする。だから市会議員や県会議員に立候補する人の中に○○学校PTA会長という肩書が多く目につく。
 その二が、本来地方自治体が出さなければならないお金をPTA会費より使ってきた歴史がある。現在はそのようなことはないと思うが。
 その三に、組織が複雑になって活動の範囲が広がり、会員の負担が多くなった。
 長い歴史があり、子どもを人質に取られている保護者にとっては、本来のPTA活動に改革することは難しいことある。
 令和という新しい時代に今一度、PTA組織はボランティア活動であるということから考え直す必要がある。
 活動内容も単純化して、「子どもを善く育てることを阻んでいる障害を取り除くこと」に集中すべきである。
 子どものために大人ができることは「悪い環境」を無くす活動が第一でこれ以外に何があるのであろう。
 情報化時代をうまく利用して、それぞれの働き方改革の中で各人が協力できる方法でPTA活動に参加することを考えていく。
 自分の特技を生かして自宅でできることやネットの活用など自分にできることでPTA活動に参加できる体制をつくるといい。
 PTA活動が保護者や教員にとって役立つ活動であれば参加することが楽しみになる。楽しみになるPTAはメリットが多い。これからのPTA活動は活動内容が問題である。

2019年5月2日木曜日


教育の基本 64  親子で教科書輪読の勧め

 せめて子どもが小学生の間ぐらいは1週間に1度程度の親子で教科書の輪読会を勧める。
 先ず、親子の共通な話題が共有できる。教科書を読むだけで時代の空気を感じることができる。子どもには学習の習慣づけができ親にとっては新しい時代の流れを読み取り、更に発展的に大人として読んでおきたい書と書を見つけることができる。
 まあ、理屈はいろいろとつけられるが、親子や夫婦で輪読することはたのしい。
 文科省検定の準国定教科書と私は言っているが、教科書のレベルは相当に高い。安心して読める内容で、しかも新しい情報化時代にも対応した編集の工夫がみられる。
 どの教科書を輪読の材料にしてもいいのだが、私は一番に国語、次に道徳、そして社会科へと進む。
 国語と道徳の教科書をベースにして後は自分の得意な分野の教科書を1冊取り入れるとよい。
  今の教科書は写真や挿絵を豊富に取り入れてみるだけで楽しくなる。
 光村図書の中1の国語の教科書を開いてみた。
 「言葉に出会うために」
 教科書を開けば、たくさんの言葉があなたを待っている。
 新しい言葉に出会う喜びを知ろう。
 気になる言葉に出会ったら、立ち止まって考えてみよう。
 友達を増やすように、自分の言葉を増やしていこう。
 言葉の数だけ、世界は豊かに見えてくる。
 言葉の数だけ、未来は希望に満ちてくる。
 言葉の数だけ、自分の可能性が開かれる。

 さあ、小学校で学んだことを生かして、中学校の国語を学んでいこう。

そして、最初に出会う作品が「工藤直子」1935年生まれの詩人で児童文学作家の4編の詩である。

あしたこそ  たんぽぽ はるか

ひかりを おでこに  くっつけて  はなひらく ひを  ゆめにみて  たんぽぽわたげが  まいあがります
とんでいこう どこまでも  あした  たくさんの「こんにちは」に  であうために

おれはかまきり  かまきり りゅうじ

おう なつだぜ  おれは げんきだぜ  あめり ちかよるな
おれの こころも かまも  どきどきするほど  ひかってるぜ
おう あついぜ  おれは がんばるぜ  もえる ひをあびて 
かまを ふりかざす すがた  わくわくするほど  きまってるぜ

あきのひ  のぎく みちこ

かぜが とおりすぎました  わたしは はなびらを  ゆすりました
ふりかえると  ゆうひが くるくると  しずむところでした

いのち  けやき だいさく

わしの しんぞうは  たくさんの  ことりたちである
ふところに だいて  とても あたたかいのである
だから わしは  いつまでも  いきていくのである
いつまでも  いきていて よいのである

引用が長くなりましたが、本当に楽しいぜ。